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最高裁判所第二小法廷 昭和29年(あ)436号 決定 1954年7月14日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

各被告人の弁護人樫田忠美、同八広伍一の上告趣意第一点について。

所論は憲法違反をいうけれども、その実質は単なる法令違反の主張に帰するから、適法な上告理由とならない(なお、選挙運動につき、その報酬と費用との割合が明確にされず従って右両者を区別することなく包括して供与された金員は、その全額が没収又は追徴の対象となることは当裁判所の判例の趣旨から明らかなところである。昭和二八年(あ)第四九五〇号、同二九年六月一九日第二小法廷決定参照)。

同第二点について。

所論は判例違反を主張するけれども、原判決は所論引用の四及び五の判例の趣旨に添いこそすれ少しもそれに反するものではなく、またその余の引用判例はすべて本件に適切のものではないから、論旨は採用できない。

同第三点第四点について。

所論第三点は違憲をいうけれども、その実質は事実誤認乃至単なる法令違反を理由とする主張であり、第四点は量刑不当の主張であって、何れも刑訴四〇五条の適法な上告理由に当らない。

各被告人の弁護人乙竹仲太の上告趣意について(上告趣意は被告人渡辺尚雄に関する部分と、その他の四被告人に関する部分との二つに別れておるが、各同旨のものであるから、一括して判断する)。

所論第一点は単なる法令違反と事実誤認、第二点は事実誤認、第三点は量刑不当の主張であって、何れも適法な上告理由に当らない。

なお記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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